■2015年12月21日
青空が一面に広がる良く晴れた月曜日。
この日、私は乗り合いのバンを利用して世界遺産の街ルアンパバーンから韓国と欧米で作られた街ヴァンビェンへと向かう予定であった。
出発は13時30分。
あらかじめ予約していた旅行会社の店内の椅子に座り、バンを待つ。
バンを待つ間、店内を物色して回った。
さすが世界遺産の街。
海外からの観光客も多いだけあり、他のラオスの街に比べると洗練されている印象を受ける。
置物や家具なども観光客に受けそうなものが置いてある。
そうこうしていると、ピックアップ用のソンテウが到着した。
ドライバーにチケットを見せ、バックパックを渡すと雑に屋根の上に放り投げ簡単に固定した後、ドライバーは運転席に乗り込みアクセルを踏み込んだ。
ブロロローという音と共に、ソンテウがゆっくりと出発する。
『少し出発が遅くなったな。』
私は、ため息ともつかない息を一つはいた。
実はこの日、ルアンパバーン郊外3キロほど先にあるバスターミナルまで歩いて向かっていた。
しかし、チケットオフィスで9時半の高速バスが満席だと言われ、次のバスは14時とのことで、それは待ってはいられないと、おいそれと再び中心街に戻ってきたのである。
中心街にはたくさんの旅行会社があり、そのどこかにはより安くより早い出発時間のバスがあるだろうと目論んでいた。
しかし、蓋を開けてみれば往復1時間半も歩いたのにもかかわらず、結局高速バスより30分しか早く出発することが出来なかったのである。
『バスターミナルで待っていれば良かったな。』
などと考えていると、ターミナルに到着した。
そこに1台のハイエースが。
どうやらこの車でヴァンビェンに向かうようだ。
本日はおよそ4時間半の旅。
いつ休憩があるかも分からないので、このターミナルで用を足しておこうとトイレへと向かう。
用を済ませ、バンに向かうとすでに他の乗客は乗車しており、私が最後であるようだ。
『この席いいですか?』
私は目の前にいた金髪の白人女性に拙い英語で尋ねた。
『:@;p¥0-』
何を言っているのか全く聞き取れなかったが、表情やジェスチャーからするとどうやらダメらしい。
なぜダメなのか聞き返せる英語力が私にはない。
罵声を浴びせたくなる衝動を抑え、他の席を探す。
後ろの席が空いているかと思い、韓国人らしき男の子に尋ねると、これまた拙い英語で、
『助手席が空いていますよ。』
と、教えてくれた。
『この手のバンの助手席には日本では通常乗らないんですよ。』
と、流暢な英語で言い返せればいいなと思ったが、私の数少ない英文の中から、
『Thank you.』
を選んだ。
私が助手席に乗るとともにドライバーも運転席に乗り、ほどなく出発した。
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『意志を繋ぐ者たち』
2時間ほど走っただろうか。
グネグネの山道を抜け、見晴らしがいい場所でドライバーが車を止める。
『休憩だ。ここは見晴らしがいいから。』
確かにそこには素敵な景色が広がっていた。
『どうだ?いいだろ?』
『いいね。』
各々外に降りていき、記念撮影を始める。
一通り記念撮影を終わらせ車に戻る。ドライバーが再び車を走らせる。
『ここから9キロ下り坂だ。』
ドライバーがそう呟いてから5分ほど走ったところで前方に停車している車が現れた。
よく見ると1台ではない。多くの車で長蛇の列が出来ている。
車を降て座り込んでいる人を見かけ、ドライバー車内からラオス語で話しかける。
『k・@p。pp;@p@;「@14-kgp。:。。f@k・@p。pp;@p@;「@14-kgp。:。。f@k・@p。pp;@p@;「@14-kgp。:。。f@k・@p。pp;@p@;「@14-kgp。:。。f@』
一通り話をした後、我々バスの乗客に向かって一言。
『クラッシュだ。』
どうやらこの先で交通事故が起きているらしい。
5分。
一向に車が動き出す気配はない。
ドライバーがおもむろに車を降り、『現場を見てくる。』とジェスチャーをし、道を歩き出す。
その後ろを、欧米バックパーカーと私が続く。
500mほど坂を下ったところに事故現場はあった。
そこには大型のトレーラー同士が鎮座していた。
たまたま急カーブで鉢合わせてしまったのだろう。
片方のトレーラーは急にハンドルを切ったせいか、片輪が浮き、今にも道路外へと倒れそうである。
『これ、どうするのだろうか?』などと考えながらも、バシャバシャと写真を撮る。
ふと、道路脇にある側溝に目をやるとそこには多くのラオス人男性が集まっているではないか。
彼らは何をしているのだろう。
近寄ってみる確認してみる。
い、石?
彼らは道路脇の森から石を掘り出し、ぼこぼこと側溝に落としている。
ま、まさかと思い指揮を執っているおっさんに思わず聞いてみる。
『石で側溝を埋めてトレーラーを大回りさせて逃がすの!?』
ニッコリ笑って、『そうだ!』
『ははっ、やるね。ラオス人。』
『おれも手伝うよ。』
そこからはラオス人に混じり石を側溝に放り投げる作業を永遠繰り返す。
3,40人ほどのラオス人が作業していただろうか。
しばらくするとどこからともなく、小型のトラックが石をたくさん積んでやってくる。
それをラオス人と共にバケツリレーで渡しあい、側溝を埋めていく。
作業を始めて45分。
指揮を執っているおっさんからOKが出た。
ドライバーが乗り込み、前後にトレーラーを動かす。
ゴゴゴッゴゴ!!
大きな音と共にトレーラーがストップする。
どうやら失敗のようだ。
指揮を執るおっさんの号令で、今度は先ほどとは違う場所に皆で石を運ぶ。
山から石を掘り出す者、石を運ぶ者、コンビネーションは抜群。
そして、なぜか皆楽しそうに作業を進めている。
君たち仕事はいいのかい?と尋ねたくなるほどに。
そこから2時間かけて、石を積んではトレーラーを動かし、失敗。動かし、失敗。を繰り返した。
16時45分から始めた作業もかれこれ2時間が経っていた。
徐々に日が落ち、このころにはあたりは真っ暗。
本日4回目のチャレンジ。
ドライバーが乗り込み、エンジンを踏み込もうとしたその時…
パァーーン!!!
!!??
大きなクラクションと共にやってきたのは、どでかいトレーラー。
どうやらラオス的JAFのトレーラーのよう。
皆から『遅いよ!やっとかよ!』の声と共に歓喜の指笛も聞こえる。
トレーラー同士をけん引ロープでつなぎ、大きなエンジン音と共に一気に引っ張る。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!!!
ガゴッ!!
クララが立っ…
トレーラーが抜けたっ!!!
イェーーイ!!!
パチパチパチパチ!!!!
作業していた者・それを見守る観客からの拍手と歓喜の声を合図に、2時間の作業はようやく終わりを告げた。
長く短い2時間が終わったのである。
通常通り車が動き出すのを見届けた後、バンに向かった。
バンに乗り、ヴァンビェンまでの道すがら今日のことを振り返った。
笑顔で作業するラオス人。
事故を起こしたドライバーを一切責めないラオス人。
協力しながら作業を進めるラオス人…
色々と考えを巡らせていると、
ふと、一つの言葉が頭をよぎった。
もしや、彼らは石を繋ぎ、意志を繋いでいるのではないだろうか。と。
文体変えて雰囲気出そうとしたけど、『石と意志』たいしてうまくかかってないし、そもそもそんなに文章うまくないことに気づいたわ。
それでは、また!
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